四国の山
《 その6 》

【 翠波峰 】
 
2011年5月21日 土曜日 天候:曇り
所在地:愛媛県四国中央市
(総文字数 約2,000文字)
 
 
 筏津山荘を8時過ぎに出発して登山口を目指していた.目的の山は三ッ森山(標高1,429.5m)で,登山口はフォレスターハウスのやや手前にある.銅山川に沿って県道を走行中,日浦に近づく辺りでふと周囲の山々を見上げると,山頂付近はどんよりとした雲が垂れ込めている.車を路肩に駐車し,なおも天を見上げ思案にくれる.天気予報によると午前中は雨の心配は無いと思われるが,たとえ登ったとしてもガスに覆われ,視界はゼロに近いだろう.K君と相談の上,“中止やむなし”との結論に達する.そこで代替え案として翠波峰に登ることに決定.翠波峰は標高も1,000m以下で低いし,ここよりずっと東に位置する.だから天候の影響はさほど受けないだろう,と考えたからだ.早速,その場でUターンして新たなる目的地へGO!
 
 途中,法皇湖の展望台(せいの展望広場)に立ち寄る.この春は特に雨が少なかったせいか,水位は大きく下がっていた.目前に見える富郷ダムのコンクリート堰堤はほとんど姿を現し,ダム湖周辺の薄茶色い山肌が露出している.前回(H21.9)訪れたときは満々と水を湛え美しかったのに.

 <法皇湖と富郷ダム>

 
 金砂湖に架かる赤いアーチの平野橋を渡れば,まもなく法皇トンネルにさしかかる.その少し手前右に翠波高原への入り口がある.ヘアピンカーブの続く急坂を,エンジンを唸らせ一気に800m近くまで登りきると広大な駐車場がある.その向こうに展望台が見えたので駐車場はあっさり素通り.
 
 展望台(コスモス展望台という)からの見晴らしは抜群.この周辺の花園では春には菜の花,夏から初秋にかけてコスモスが一面に咲き乱れるという.残念ながら今はその時期でなく,花園は一面に地肌を見せている.翠波峰方面を見上げると,またも展望台発見.高い所の展望台が更に見晴らしが良かろう,とK君との話がまとまり,そそくさと出発.

 <駐車場と花園>

 
 途中,四国中央市が望める展望台(北峰展望台)があるが,霞みがひどく市街地は白っぽく見えるだけ.ここは翠波峰山頂へ至る道の起点でもある.石の道標には“駐車場800m”と刻まれている.山頂付近は思った以上に広く,奥に広い駐車場が広がっている.北側にはちょっとした公園もあり,伊予三島市街地を一望出来る.さすが県立自然公園だけあって整備はよく行き届いているが,設置されている大型双眼鏡は故障していた.

 <山頂への道>


 <公園>

 
 駐車場の向こうにこんもりと盛り上がった小さな丘が見える.それが翠波峰(西峰,標高892m)で,頂上には形の良い石が鎮座している.この石は自然の石で元々ここにあったのか,それとも運び上げたのか?山頂のすぐ西に展望台(西峰展望台)があり,ここからの眺めは予想通り抜群!山上へせり出した展望デッキの足元はスチールメッシュでスリル満点.その先端にはまたも双眼鏡が据え付けられているではないか!幸いこちらの双眼鏡は正常動作したので,遙か下に広がる金砂湖はじめ銅山川渓谷や周囲の山々の風景を思う存分に楽しむ(双眼鏡は無料).相変わらず赤石山系,高知県境の山々には雲がかかっている.

 <翠波峰(西峯)>


 <西峰展望台>


 <展望台からの眺望>

 
 翠波東峰登山口は駐車場の東端(入り口付近)にある.“マムシに注意!”の立て札があり少々ビビる.マムシに注意しながら登ること約10分,東峰(標高900m)へ.東面が開けているので,東峰から延々と続く山々が一望できる.残念なことに送電鉄塔が乱立しているのでイマイチかな.なお下山中,大きなシマヘビに遭遇してドキッ!ともあれマムシでなくて一安心.

 <翠波峰(東峯)>


 <法皇山脈(東方面)>

 
 北峰展望台まで戻り,一路新宮を目指し法皇スカイラインに乗り入れる.この道は法皇山脈の尾根伝いに走るが,木々に遮られ眺めはよろしくない.また道幅は狭く対向するにはかなり困難が伴いそう.余談だがこの道路は四国電力の送電鉄塔建設のために造られたそうな.さて,5分も走行しないうちに水波神社と刻んだ比較的新しい石碑を発見.“南へ200m”とあるので,ついでに立ち寄ることにする.急な石段を登るとそこに小ぶりな神社本殿がある.社の裏へ回ると大岩がせり出し,断崖となっている.ここからの眺めもなかなかグー.

 <翠波神社から見下ろす石段>

 
 さらに先へ車を数分進めるとアヤメ池があった.今が開花シーズンでもあるので,ここも見学することに.当然,池があるのかと思ったら,そこはカヤだらけの原野.古民家のカヤ葺き用としてカヤを保護育成している,と古びた立て札に書いてあった.カヤ原の中にブルーシートを敷いた人工の池があったが,アヤメは見当たらない.帰り際,プレハブトイレの傍で2〜3株のアヤメを発見した.

 <アヤメ池>

 
 別に急ぐ旅でもないので,以降スカイラインをゆったりと走行.堀切峠を経て新宮まで走り,新宮ICで高知自動車道に乗り一路徳島へ.幸いなことにスカイラインでは一台も対向車に出逢わなかった.

 <新宮への道>

 

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