新・徳島の山
VOL.2

【 六郎山(ろくろうやま) 標高 1,287.3m 】
2008年5月22日(木曜日) 天候:晴
所在地:徳島県那賀町(木沢)
走行距離(自宅→登山口):80km
(総文字数 約2,300文字)
 
 六郎山登山は当初土曜日に予定していたが,天気予報によるとどうやら雨天のようだ.そこで急きょ,木曜日に変更した.今回は単独行なので,臨機応変に即刻対応出来る点が,大いなる強みと言えよう.
 自宅を出発したのは,AM 4:25.近くのコンビニで500mlアクエリアスを2本購入.水は他にプラティパス(※)水筒(500ml)を用意している.以前は1,000ml入りを持参していたが,バックパック軽量化のため,思い切って半分に減量した.
(※プラティパス:透明樹脂製の水筒で,空になれば折りたたみ可能.熱湯対応.アメリカ製)
 
 我が愛車ケイは国道193号線を外れ,林道大用知線に乗る.険しい峡谷につけられた道は,九十九折りを繰り返し見る間に高度を稼ぐ.急坂を上りきると,程なく登山口に近い大用知集落を見渡せる場所に到達する.車窓を通して飛び込んできた風景には,正直びっくり仰天.ひどい有様の災害復旧現場だ.この地区は2004年台風10号のもたらした未曾有の集中豪雨により,大規模な山崩れが発生した.何しろ4日間の連続降雨量は,2,000mmを突破したというから驚く.あれから4年近く経過するが,その爪跡は今も何とも痛々しい.

 <災害復旧現場>


 <山腹大崩壊の爪跡>


 <災害復旧現場>

 
 林道終点の広場には 6:15に到着.舗装道路はここまで延びていた.ダートは先日の貧田丸で懲りていたので,有り難いと感謝すべきだろう.この広場(標高750m)の奥に六郎山登山口がある.早速準備を済ませAM 6:25登山開始.

 <登山口へ至る林道>


 <六郎山登山口(広場の奥)>

 
 登り始めて間もなく,登山道が崩壊している地点に出くわす.ここで谷川を渡渉しなければならない.滑り落ちないよう慎重に足を運ぶ.増水時は危険で渡れなくなるだろう.災害で荒れた河原を乗り越えると,再び杉林の山道となる.突然,ガサガサッと物音がした.ドキッとして前方を見やると,2頭の鹿が突っ立っている.やがて慌てふためいて逃げ出した.目をこらすと犬コロのような子鹿が,必死で親の後を追っているではないか!しばらく立ちすくんでいた.鹿目撃は吉野丸登山時(2003年)以来だ.

 <登山道崩壊箇所>


 <荒れた河原>

 
 小さな谷に架かる丸太橋を渡る.左右に立ちはだかる大岩を過ぎると,再び丸太橋を渡る.やがて朽ち果てた小さな作業小屋(標高約880m)に至る.ここまで約15分を要す.右に曲がり斜面を登り詰めると十字路らしき地点(標高約920m)に出る.【登山口より25分】

 <丸太橋>


 <大岩通過>

 
以降,この登山中唯一の水平道に移る.やはり登山道はこうでなくちゃならん!と思う.登り一辺倒では苦しいばかり.たまには楽をしたいと考えるのは人の常.約10分の歩行で丸太橋に着く.20cm程の丸太を3本束ねただけの簡素な橋で,かなり渡りにくい.滑らないよう注意して渡りきると,大きな作業小屋のある広場(標高約925m)に出る.【登山口より35分】

 <水平道終点にある丸太橋>


 <作業小屋前広場>


 <旧道?作業道?朽ち果てる橋>

 
 この小屋の傍らに小さな祠と木地師の墓がある,とガイドブックに記載されている.祠はあるが木地師の墓が見当たらない.小屋の周囲を巡ったが見つからない.諦めて登山道に戻り,下山時に探すことにした.歩き始めてふと何気なく振り返ると,祠の前方に丸い石が立っている.果たしてそれが木地師の墓であった.こんなに小さな墓とは思いもよらなかった.全高20cm少々か?やっぱり思いこみは禁物だ.

 <木地師の墓>

 
 デジカメに収めた後,単調な杉林の登山道を黙々とひたすら進む.勾配がきつくなったせいか?歩みはだんだんとのろくなってきた.沢沿いにつけられた道は,所々えぐり取られ途切れている.苔むした古い石垣も無惨に破壊されている.恐らくあの2004年の台風による濁流で荒らされたのだろう.それにしてもこの道はきつい.息を整えるため何度も立ち止まる.水分も補給しなければならない.やがて木立の前方に空が透けて見えだした.杉林が途絶え,自然林が多くなる(標高約1,220m).大きな作業小屋からここまで50分を要した.【登山口より1時間25分】

 <杉林の長〜い登山道>


 <自然林の登山道>

 
 急勾配の自然林を10分で登り切ると,杉の林立する平らな尾根(標高約1,270m)に出た.ここが山頂かと思ったが残念,違った.コピーしたガイドブックの切れ端を見ると,山頂は右(東)へ尾根づたいに進むとある.スズタケと灌木がまばらに茂る尾根を飛ばす.スズタケが密集してくるが,かき分け進むと約5分で山頂(標高1,287.3m)到着.時刻は8時5分.【登山口より1時間40分】
 
 三等三角点に手をつけてから,バックパックを下ろし水分補給.一息ついてからお決まりの山頂記念写真を取る.“レキ”のトレッキングポールにデジカメを取り付け,セルフタイマーをセット.一脚なので支えてくれる,手頃な低木の小枝等が必要となる.記念写真を撮り終えると,次は山頂の写真.それから周辺の眺望となる.山頂からの眺めは今ひとつ.北と南が開けているが,生憎この日は春がすみがひどくたなびいている.高城山山系(写真後方)の山並みは白くぼやけている.

 <六郎山山頂>

 
 山頂からさらに登山道が延びている.恐らくカロート山(標高1,240m)へ至る道であろう.残念ながらこの山は83座には含まれていない.しかし,個性ある名を持つ山だけに興味が沸く.いつか登ってみたいものだ.
 
 山頂に25分滞在した後,8:30 出発.登山口 9:50 着.下山に約1時間20分を要したことになる.予想外に時間がかかったようだ.広場脇を流れる沢の冷たいせせらぎで顔を洗い,汗をぬぐう.着替えを済まし,サッパリした気分で帰路についた.
 
(1,000m峰 完全登頂まであと 22 座)

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