新・徳島の山
VOL.11

【 No.1. 舟 山(ふなやま) 標高 1,042.9m 】
【 No.2. 中津山(なかつさん) 標高 1,446.6m 】
2014年5月30日(金曜日) 天候:晴
所在地:徳島県三好市池田町・西祖谷山村
走行距離(自宅→登山口):103km(舟山登山口)
(総文字数 約3,000文字)
 
【 No.1. 舟 山 】

 今回の登山はふたつの峰を登る計画だ.池田町出合から進入したので,手前にある舟山から登ることにする.舟山へ至る明確な登山道は無い.ガイドブックとかネット上の記録を調べれば,“横峰”という所から登っている.そんな訳で,取り合えず横峰を目指すことにする.
 
 出合いからすぐの光明寺を過ぎると,またもや大規模な森林伐採が行われている模様だ.前回(VOL.10 野鹿池山)のこともあるので,いささか心配になってきた.尾根を登りきった横峰には6:00 AM頃到着.ここはやや広い三叉路となっている.カーブの地点に鳥居があり,その奥に小さな祠が鎮座している.傍らには中津山遊歩道の案内標識が建っている.しかし路面は伐採機械によりガタガタに荒れており,尾根際まで伐採されている.こんな状況であるから,どうも落ち着かない.

 <横峰の神社>


 <中津山遊歩道案内標識>

 
 一度はこの横峰から登ろうと支度を始めたが,靴のひもを縛っている間に気が変わり,もう少し先までクルマで行くことにした.道路はここからコンクリート舗装となり,道幅はぐっと細くなる.15分くらい走っただろうか?周囲の森林は見事に皆伐され,視界は一気に開け明るくなった.以前は昼なお暗き林道であったろうに.まもなくちょっとした広場(標高約740m)があったのでここに駐車し,早速登山開始(6:35 AM).
 
 広場前から延びる林業機械用の作業道を登って行く.途中,ユンボのような自走式伐採機械が停まっていたので,脇をすり抜けその先へと進む.そのうち道は細くなり,一部伐採から免れた林の中へと続く.するとキツネの狛犬に守られた小さな神社に6:55 AM到着.この神社の正式な名称は「剣先大明神」という.【登山口より20分】

 <伐採作業道>


 <剣先大明神>

 
 神社の裏手は伐採されている.よってどこから登ってもOKであるが,登りやすいルートを選択して右へ左へ.そうこうすると作業道に突き当たったので,道を辿る.遠回りになるが,作業道を歩く方がはるかに楽だ.伐採地は木材の端切れや小枝が絡み重り合っているので,足元は極めて悪く歩きにくい.作業道の終点から再び伐採地へ足を踏み入れるが,なるべく自然林との境界を選んで歩く.境界付近は,比較的容易に歩けるからだ.
 
 神社より20分ぐらい登った頃に,GPSを取り出し現在地をチェック.舟山山頂まで約300m手前の地点にいる.進路はピッタリ合っている.このまままっすぐ尾根伝いに登れば,それでいいのだ.途中あった大岩を迂回して3分,無事,山頂に至る(7:40 AM).

 <GPSをチェック>


 <舟山山頂>

 
 山頂北東方面は伐採されているので見晴らしは良いが,あいにく今日はもやがかかっている.反対側の南西方向は自然林がそのまま残っているので,視界は無い.辛うじて樹木の合間から国見山と思われる山系が,彼方にうっすらと望める.登頂記念写真を撮って,下山開始(7:45 AM).

 <北東斜面>

 
 下りは登って来たルートを引き返すが,登り同様,極力歩きやすいルートを選ぶ.神社通過は8:15 AM.登る時,作業道に停めてあった林業機械は,どこかに移動していた.遠くで機械音が聞こえるので,伐採作業をしているのだろう.駐車地点に8:30 AM到着.次なる目的の山,中津山を目指しクルマに乗り込む.
【山頂より45分】
 

 
【 No.2. 中津山 】

 出発してまもなくコンクリート舗装は途切れ荒れたダートとなり,スローダウンを余儀なくされる.10分ほど走れば「剣先大明神」の案内石碑が林道脇に建てられた三叉路に至る.神社まで300mとあるので,舟山登山はこちらから登った方が時間短縮となる.さらに林道を進むと,やがて伐採地から杉林へと移る.道も何となく怪しくなってきた.カーブになったやや広い場所に駐車し,ここから歩くことにした(9:00 AM).

 <案内石碑>

 
 歩き始めは路面もかなり荒れていたが,だんだんと状態が良くなってきた.『これだったらクルマで来れたのになぁ』と思い始めていた矢先,突然,広場に到着(9:20 AM).しかも立派な舗装道が直結している.林道松尾線である.また中津山山頂へ向かう自動車道の起点でもある.ここが“またんど(標高約950m)”であった.この地名は横峰の中津山遊歩道案内板に記されていた.ここで一瞬迷うことになる.選択肢は下記の3通りとなる.
@クルマを取りに行って戻り,山頂まで徒歩で登る.
Aクルマを取りに行って戻り,山頂までクルマで登る.
Bこのまま徒歩で登る.
一時は@に傾きかけたが熟考の後,Bをチョイスした.この間,僅か十数秒足らず.

 <またんど>


 <左:林道松尾線,右:中津山登山自動車道>

 
 ガイドブックによると登山道があるみたいだが,見つからない.結局,コンクリート舗装の自動車道を登ることにした.石の道標には「霊峰中津山へ三.七キロ」とある.車道は杉林の間をジグザグに折れ曲がり,結構勾配がきつい.それもそのはず,“またんど”から山頂まで,標高差はざっと500m近くある.道幅は車1台がやっとという感じで,対向は無理だ.唯一,カーブ地点は幅が大抵広くなっているので,対向は可能と見た.

 <道標1>

 
 だんだんと息が上がり,汗が噴き出してきた.目に汗が入り,痛いことこの上なし.さらに足もだんだんと痛くなってきた.コンクリート舗装は,ことさら足に応える.杉の葉が落ちて重なった場所を選ぶと,まるで絨毯の上を歩くようで心地よい.が,そんな場所はごくごく限られる.
 
 やっとの思いで「霊峰中津山へ一.五キロ」の道標に辿り着く(10:05 AM).標高は約1,225m.この地点で半分以上の行程及び高度をこなしたことになる.もう一踏ん張りだ.あとは何も考えず,黙々とただひたすら歩くのみ.車道終点(標高約1,435m)には10:45 AM到着.山頂へは広い参道が通じている.山頂到着10:50 AM.
【駐車場所より1時間50分,またんどより1時間30分】

 <道標2>


 <車道終点 左:参道,右:中津神社>

 
 山頂は平らで思いの外広い.ほぼ中央部に涸れたことが無いと云う「黄金の池」がある.池の袂には石を祀った社があり,傍らには祠がふたつ並んでいる.最も高い場所に立っているのが,弘法大師の像である.その像の正面左脇に山頂標識を発見.弘法大師と一緒に記念写真を撮る.その後山頂をグルッと一回りすると,ひとりの登山者と出会った.南側の西祖谷山田ノ内から登って来たと言う.「今日は暑い!」と話ながら,しきりと汗を拭っていた.

 <黄金の池>


 <弘法大師像>

 
 山頂出発11:05 AM.下りは登りよりもはるかに足に応える.あの「一.五キロ」の道標まで約30分.そこから以降,足の痛いのを我慢しながら歩くこと35分.やっと“またんど”に着いた(12:05 PM).クルマまでさらに20分で辿り着く.
【山頂より1時間30分】

 <またんど到着!>

 
 着替えを済まし,お茶を飲んで10分ほど休憩.帰途は“またんど”を経由し,真新しい舗装の林道松尾線を快調に飛ばす.途中,大規模な木材集積場を通過する.沿道沿いに集落がだんだん増え始めると,いつの間にか今朝通った横峰への道と合流していた.このことに気付いた時には,祖谷街道の出合は目前に迫っていた.
 
(1,000m峰 完全登頂まであと 12 座)

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